おはようございます。古賀修三です(^.^)
今回も視聴者様のご質問にお答えしていきたいと思います。
今回はトレックのクロスバイクに「クラリスクランクを付けたい」というご相談です。
取付可能なのか?どうなのか?
私の中でも曖昧だった点があり即答出来なかったのですが、クランクの規格やBBの規格を調べてみました。
実物があれば計測したりできたのですが、あいにくクランクもBBも無いので規格表を基にお話をさせていただきました。
では早速ご説明していきましょう~
質問内容
はじめまして。 いつもブログとYouTube拝見しております! 今Trekのdual sport 2というバイクを色々いじっていて、手始めにスプロケを11-28tにしたところです(今回購入のディレーラーもこのバイクに取り付ける予定です)。 ご相談をブログのお問い合わせに書き込んでいたところ、文字数制限があるようで、こちらに送らせて頂きます💦 チェーンリングは48-38-28がついていて、フロントはTourneyなのですが、トップに上げるとき微妙に空転して気を遣います。自転車屋さんでも見てもらいましたがなかなか調整が難しいそうです。 通勤・買い物用なのでインナー28tはほとんど使っておらず、古賀さんのブログを参考にダブル化を計画しています。 BBはBSAスレッド、シェル幅73mm、軸長122.5mmの四角テーパーがついています。 やりたいことはフロントアウター50t化です。方法は2つ考えています。このような方法で大丈夫なのか、教えていただきたいです。 ①FC-RS200をつける →元からついていたクランクのチェーンラインの47.5mmから43.5mmへと4mmも短くなるのに加え、ブログでおすすめされていたようにBB軸長を113mmにするとアウターがタスキ掛け状態になるのでは…と心配しています。 ②BB-MT501 + FC-R2000をつける →こちらもチェーンラインが43.5mmなので心配です。MT501のスペーサーを右ではなく左側に取り付けたら少しは改善するのでしょうか…? r2000のクランクは見た目が好きですし、今回購入したクラリスのディレーラーたちとも色が合うので、できれば②の方法で進められたらと思うのですが、手持ちの工具セット(画像1参照)に加え、別途取り付け工具が必要かも(画像2参照)ということで、結構大変そうだな…という感じで迷っています。 急ぎませんのでお返事いただけたら有り難いです。Server Error - Trek Bikes
というご質問です。
TREKの「dual sport 2」というモデルを検索したところ、現行モデルは2×9段変速のため現行モデルでは無さそうです。
フロントトリプル仕様のようなので、おそらく2019‐2020年頃のモデルでは無いかと思われます。
カスタムするにあたり、フレームの形状やデフォルトのパーツの情報は重要なので、年式まで記載いただけると助かります。
現状の把握(TREK Dual Sport 2の仕様)
↑が今回ご相談いただいた車種と同じモデルになります。
もしかしたら年式が異なるかもしれませんが、仕様的にはあまり変わらないと思います。
3×8段変速、ディスクブレーキ、太めのセミブロックタイヤが付いています。
タイヤサイズは700×38Cなんですね~
ご質問者様は、今回のカスタムの目的は「アウター50T化」のようです。
希望としては、ロードバイク規格の「FC-R2000を取り付けたい」とのことです。
デフォルトのタイヤでは50Tも要らないと思うのですが、もしかしたらタイヤを細くされているのかもしれませんね~
「BBはBSAスレッド、シェル幅73mm、軸長122.5mmの四角テーパーがついています。」とのことです。
今回の話の肝はココかもしれません!
クロスバイクにロード用のクランクを取り付けることは出来るのですが、BBシェル幅73㎜で考えたことはありませんでした。
ロード用のBBやMTB用のBB、ロード用のクランクとMTB用のクランクの規格の違いも明確には知らないので、この機会に調べてみました。
FC-R2000の規格
製品の仕様
モデル番号 | FC-R2000 |
---|---|
シリーズ | CLARIS R2000 シリーズ |
カラー | シリーズカラー |
リアスピード | 8 |
対応チェーン | HG 8/7/6スピード |
---|---|
チェーンライン (mm) | 43.5 |
P.C.D. 左/右 (mm) | 110 |
P.C.D. (mm) | 110 |
スパイダー/ギアアーム | 4 |
チェーンリングコンビネーション | 50-34T |
Qファクター (mm) | 150 |
クランクアーム長さ (mm)|165 | ✔ |
クランクアーム長さ (mm)|170 | ✔ |
クランクアーム長さ (mm)|175 | ✔ |
チェーンガード (オプション)|チェーン/バッシュガードなし | ✔ |
2ピース クランクセット | ✔ |
対応ボトムブラケットタイプ|外側 | ✔ |
推奨ボトムブラケット|ねじ込み (ノーマル) | BB-RS501 |
推奨ボトムブラケット|プレスフィット | BB-RS500-PB |
スレッドボトムブラケットシェル幅 (mm)|68 | ✔ |
スレッドボトムブラケットシェル幅 (mm)|70 | ✔ |
クランク取付けねじを含む | ✔ |
↑がFC-R2000の規格です。
注目すべきはボトムブラケットのシェル幅です。
68㎜と70㎜には対応していますが、MTB規格の73㎜には対応していません!
ちょっと雲行きがあやしそうですね~(^-^;
BB-MT501の規格
↑が今回ご質問者様が取り付けようとしているホローテックⅡBB(BB-MT501)です!
コチラはBBシェル幅68㎜にも73㎜にも対応しています。
モデル番号 | BB-MT501 |
---|---|
シリーズ | DEORE M6100 シリーズ |
ホローテック II ボトムブラケット|スレッドボトムブラケットタイプ | ✔ |
スレッドボトムブラケットシェル幅 (mm)|68 | ✔ |
スレッドボトムブラケットシェル幅 (mm)|73 | ✔ |
---|
↑のように、スペーサーがいくつか付属してくるようです。
何のためのスペーサーかというと・・・
↑はシマノのユーザーマニュアルです。
BBシェル幅68㎜と73㎜でスペーサーを入れる枚数や厚みが違うようです。
シェル幅が68㎜の場合はスペーサーで調整して、73㎜幅と合わせてね~ってことです。
しかし73㎜の場合でも2.5㎜のスペーサーを右側に1枚入れるようですね~
これは何のためかというと・・・
BBマウントタイプブラケットを取り付ける(FD用のブラケット?)があるため、バンドタイプのフロントディレイラーの場合は2.5㎜のスペーサーを入れる必要があるようです。
理解するのが難しいですね~(^-^;
上記の「バイクの仕様」「FC-R2000の規格」「BB-MT501の規格」から、今回のカスタムが可能か?どうか?を考察していきたいと思います。
「MTB用BB×ロード用クランク」は取付できるの?
結論から言うと、今回のDual Sport 2ではやってみないと分からないが結論ですが、出来ない確率が高いと思います。
カスタムする場合、気を付けなくてはいけないことを2つご説明します。
MTBとロードでシェル幅の規格が違う
↑がシマノのシェル幅の規格です。
注目して頂きたいのは、プレスフィットBBの方です。
ロード規格は86.5㎜です。
ネジタイプはシェル幅は68㎜や70㎜ですが、BBを取り付けると86.5㎜(BBの幅)に近い数字(おそらく+2㎜くらい)になります。
↑のロードとMTB用のBBを見比べてください。
何となくですが、BBシェルから飛び出す部分の厚みがMTB用の方が薄く見えますよね~
シェル幅73㎜にMTB用のホローテックⅡ用BBを取り付けると、プレスフィットBBの幅と同じ89.5㎜になります。
ロード用の86.5㎜と3㎜差になります。
シェル幅は5㎜差なのに3㎜差になるということは、BBの飛び出しているところが片側1㎜ずつ薄いのだと思います。
このMTB用BBをスペーサー無しで、73㎜シェルに取り付けると、BBの外ー外幅は89.5㎜+2㎜くらいになると思われます。
ロード規格とは3㎜差なので、しっかり左クランクを取り付けられない可能性があります。
シェル幅73㎜にはロード用クランクの取付はしない方が良さそうですm(__)m
おそらくですが、右クランク付いたBB内を通るシャフトの長さはMTB用とロード用で5㎜程度違うと思われます。
ロード規格に近いBB幅であれば、シェル幅73㎜でも取付ることが出来ると思います。
アルミフレームの場合、BBシェルを削る(ホローテックⅡ BBの精度を上げるためにBBシェルの平行を出す)作業が出来るショップもあります。
BBシェル幅を70㎜くらいまで削れば、取り付けることが出来そうです。
重要なのは左クランクをクランクキャップでしっかり引き寄せて、クランクシャフトが中に通っている状態で固定ボルトを締められるか?です!
規格外のカスタムをする場合は、構造を理解していることが大切です。
構造を理解していれば「何が重要か?」が分かります。
構造の理解が不十分なうちは、このカスタムはまだ手を出さない方が良いでしょう~
踏み込んでいるときにクランクが取れるとマジでヤバいですからね~💦
チェーンリングとチェーンステーの干渉
今回のバイクにはデフォルトでは太めのタイヤが付いています。
太いタイヤに合わせてフレームは造られているため・・・
チェーンステーの形状も太いタイヤが通るように、幅広に造られていると思われます。
クロスバイクにロード用のクランクを取り付けてみたら、「チェーンステーにチェーンリングが干渉してしまった!」というケースは少なくないです。
カートリッジタイプのBBなら、スペーサーを挟んだりシャフト長を長いモノに変えれば取付出来ますが、ホローテックⅡBBとなるとチェーンリングを外側に出す対策はほとんどありません。
やってみないと分かりませんが、太めのタイヤが付いている場合は干渉するリスクが高いでしょう~
おすすめのクランク
「50T化」が最大の目的であれば、おすすめは四角テーパーのカートリッジBB対応のFC-RS200になります。
おそらくですが、今付いている122.5㎜軸長のBBにポン付け出来ると思います。
フレーム形状的にチェーンリングとの干渉リスクがあるので、あまりシャフト長の短いものに交換しない方が良いでしょう~
クランク交換の仕方はコチラ↓
必要工具はコチラ↓
気にしているチェーンラインは?
気にされているチェーンラインですが、シマノの推奨外れても全く問題ありません。
詳しくは過去動画で解説しているので、コチラをご覧ください↓
まとめ
いかがだったでしょうか?
クロスバイクにロード用のホローテックⅡクランクを取り付けるのは結構大変です💦
ホローテックⅡ用のクランクやBBは、パーツ代も高いので慎重に進める必要があります。
ワンチャン狙うより、MTB規格のクランクを付けるか、シャフト長の種類のある四角テーパータイプを選んだ方が無難でしょう~
今回はこのへんで~
ではまた~(^^)/~
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